こんにちは。インフラエンジニアの岡本です。
秋になりだんだんと寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私の住む東京都内も夏場は連日35度以上の気温が続いたと思いきや、ここ最近で急激に冷え込んだり体調管理が難しくなってきましたね。
今回はそんな日本とは打って変わって、夏は涼しく快適で、冬は凍えそうに寒い北欧の国フィンランドのエンジニアと一緒に働く機会がありましたのでご紹介したいと思います。
フィンランドのエンジニアと働くことになったきっかけ
今を遡ること約2年前、コロナが流行し世界中が混乱しはじめていた頃、GMOリサーチでは、さらに会社が成長していくために、今ある古いシステムを次世代の新しいシステムに作り替えようというプロジェクトが進んでいました。
これまでGMOリサーチでは、長期にわたり少しづつ溜まってしまった技術的負債やレガシーな仕組みが弊害となっており、これをもっとモダンで効率の良いものに作り替えようという試みです。
そんな中、私の担当範囲であるインフラの中で特に問題となっていたのがデータベースでした。
GMOリサーチの環境では、データベースのほとんどはMySQLで稼働しているのですが主に以下の問題を抱えていました。
- 使用しているバージョンが古い
- 物理サーバで稼働しているために状況に合わせて柔軟にインフラを変更できない
当時社内では既にクラウドの利用が進んでおり、データベース以外のシステムについては大部分がクラウドへ移行していてクラウドのメリットを享受していたのですが、データベースが最後の砦の一つとして残っていました。
結局のところ性能要件やコストの兼ね合いから、物理サーバを選択せざるを得ないデータベースも一部あるものの、クラウドの様々なメリットを生かし、また今後も継続的にメンテナンスをしていくために、この機会にデータベースもパブリッククラウドやプライベートクラウドへ移行し、またバージョンをより新しいものにアップデートしようということになりました。
しかし当時、社内の事情などもあり実際に稼働できるインフラエンジニアは私一人だけ。
他のプロジェクトや業務もある中で、この大仕事を一人だけでやるのは厳しいということで白羽の矢が立ったのが、今回一緒に働くことになったベサ・ポーホネンさん(以下、ベサさん)です。
※ベサさんは以下のブログ記事にも登場しています。ご興味があればぜひご覧ください。
GMO RESEARCH テックカンファレンス「REMO CON」20221実施レポート
【在宅環境まとめ②】パワーアップしたパートナーの作業環境をお届け!
ベサさんはデータベースの運用経験もある開発エンジニア。過去には日本で働いていたご経験もあるので日本語もある程度OKですが、基本コミュニケーションは英語のみです。
帰国子女でなければ留学・海外生活の経験も一切ない、ただただ日本で生きてきただけの私が、どこまでできるのか不安もありましたがチャレンジしてみました。
海外エンジニアと働いて苦労したこと・気づいたこと
時差の壁
日本とフィンランド、遠く離れた場所で働いているためコミュニケーションは主にチャットと通話(ビデオ通話)です。
ただでさえ慣れない英語でのやりとりになるので、コミュニケーションが不足しがち&意図がうまく伝わらないことも多そうということで、まずは日次の定例ミーティングを設定し毎日必ず話す時間を作ることにしました。
その時にまず困ったのがミーティングをいつに設定するかです。当たり前ですが、約7500kmと遠く距離の離れた日本とフィンランドには時差があります。
フィンランドの東ヨーロッパ時間(EET)と日本標準時(JST)との時差は夏時間で6時間、冬時間で7時間もあるため、こちらが働き始めたころ向こうは深夜・早朝、こちらが終業するあたりでやっと向こうは一日が始まります。
時差のせいでお互いの業務時間の中頃の時間帯にはミーティングの時間は取れないため、日本の終業時間に近い日本時間の17時ごろに定例を設定することにしました。
日本側はその日の業務の内容を共有し、フィンランド側は前日の内容を共有するイメージです。
時差があると「あれ今向こうは何時だっけ?」と思うことがよくありますが、
Googleカレンダーではセカンダリタイムゾーンが設定できるため、設定しておくと時差がある環境で働く際にとても便利です。ちなみに夏時間・冬時間がある場合も自動的に反映されます。
(C) Google
※設定方法は「カレンダーに複数のタイムゾーンを設定する」を見てみてください。
また、Windowsの時計にも追加の時計の表示が可能なので、そちらも設定しておくと突発でチャットしたり通話したりする際も、前もって相手の時刻を確認できて便利です。
※Windows10での「時刻とタイム ゾーンの設定する方法」も参考にどうぞ。
定例ミーティングで毎日話すようにすると日によっては、あまり進捗がなく話すことがない日もあったりするのですが、そんな時は仕事以外の雑談などをしています。
仕事以外の日常での悩み事からフィンランド人からみた日本の印象など、一旦仕事から離れて様々なことを話す中でお互いの理解が深まりより一緒に働きやすくなったと感じます。
実際に会うことができないリモートで働く環境だと、油断すると仕事の話だけになってしまいがちです。仕事に関する味気ないやり取りだけになってしまうと、どうしても人間関係が希薄になり気軽に相談したり悩みを打ち明けたりしづらくなってしまうので、そんな時はあえて雑談をしてみるのもいいかもしれません。
特にチームが立ち上がった最初の頃などは、あえて雑談する時間を取るといいかもしれませんね。
(チャット上での会話イメージ)
チャットでも他愛のない話をするのは大事です。
英会話の難しさ
毎日話すようになってまず感じたのは、圧倒的なボキャブラリーの無さです。
ミーティングで話す際の最初や最後の挨拶など、簡単なものでも1つの言い方しか知らないと毎回同じ応答を返すロボットみたいになってしまいます。
これまでは、意味が通じれば十分と1つの言い方だけを覚えて色々な表現の仕方を勉強することをさぼってきたのですが、実際に毎日英語を話す必要に迫られると色々な表現がないと円滑なコミュニケーションは難しいと感じました。
とはいえすべてをいきなり完璧にはできないので、まずは挨拶からということで挨拶のフレーズを調べてみました。この中のフレーズをいくつか使いまわしながら、なんとかロボットにならないよう頑張っています。
– 英語での挨拶のフレーズ集
Hello. How are you? こんにちは。調子どう?
Hi. How’s it going? やあ。どんな感じ?
Hi. How are you doing? やあ。どんな感じ?
Good evening. How was your day? こんばんは。今日はどんな日だった?
Good morning. How are you today? おはよう。今日の調子はどう?
Good morning. How was your weekend? おはよう。週末はどうだった?
また、ゆっくり考えれば文法や時制の正しい英文を作れるのですが、会話だとすぐにぐちゃぐちゃになってしまいます。
チャットなどでは考えたり調べたりする時間があるのでいいのですが、会話だとそうはいきません。口に出したあとすぐに間違いに気づくことも多く、あと少しな感じもあるのですがなかなかうまくいかず苦労しています。
これに関しては残念ながらうまく解決する方法が見つからず、もう場数を踏んでいくしかないのかなと思っています。もし何かうまい方法をご存知でしたら是非教えてください。
タスク・課題管理や資料作成の重要性
タスク・課題管理や資料作成も今回は英語で行いました。
タスク・課題管理や資料をまとめておくことは、海外のエンジニアと働くときだけでなく日本人同士で働く際も重要だと思いますが、海外のエンジニアと働く際は特に重要だと感じました。
特に今回のように時差のある国の方と一緒に働く場合は、当日中にタスクや課題の進捗等を確認することはできず、早くても翌日や週明けになってしまいます。
また、慣れない言語でのやり取りでは認識の齟齬が発生することもよくあるので、実際にタスクや課題の内容やステータス、期限などを記録に残しながら進めていくことの大切さをより感じました。
(Googleスプレッドシートで作成した課題管理表の例)
また、システムの構成や作業の手順を伝える際に、システム構成図や過去の手順書を共有するといったことはよくあることだと思いますが、共有したい資料が日本語の資料しかなく困ることが度々ありました。
今回は口頭で補足して説明したりといった工夫で乗り切りましたが、海外のエンジニアと働く際はシステム構成図や手順書などのよく使う資料について、英語での資料の必要性を強く感じました。
理想をいえばすべての資料を英語にアップデートしていくのがいいのかもしれませんが、日本人のエンジニアの中には英語を学び始めたばかりの方もいるので、英語だけにしてしまうのも難しく、また複数の言語で資料を作成していくとただでさえ後回しにされがちな資料作成のコストが2倍以上になってしまい、これもまた大変です。
そのため、現在はまだ手動で翻訳したりしていますが、今後はDeepLなどの翻訳サービスのAPIなどを使って自動翻訳ができないかなと考えています。
やってみた感想
約2年間進めてきたこのプロジェクトですが、今年の2月で予定していたデータベースのクラウドへの移行とバージョンアップがすべて完了しました。
ほとんど大きなトラブルもなくすべて完了することができたので、言語の壁は多少ありつつも、なんとかうまくチームとして働けたのかなと思っています。
今回は、何もかもが初めてだったため試行錯誤の連続であまりスムーズとは言えないことも沢山ありましたが、ベサさんが日本や日本企業の文化に理解がある方で、また自分の下手くそな英語に寄り添って必死に理解しようとしてくれたおかげで、とても助けられました。
この場を借りてお礼を伝えたいと思います。ありがとう!
データベースのクラウドへの移行やバージョンアップの苦労話も色々とありますが、それはまた機会があればどこかでご紹介したいと思います。
最後になりますが、GMOリサーチのシステム部ではメンバーの約3割が海外メンバーとなっており、ベサさんをはじめとして様々なバックグラウンドをもつ方々が働いています。
もしそんな環境で働くことにご興味がありましたら是非GMOリサーチの採用ページなど覗いてみてください。
Wantedlyページからでも応募できます!
それでは、皆さま体調に気を付けて元気にお過ごしください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!