やさしい日本語、はじめました。~海外メンバーとのコミュニケーションをより円滑にするためのトライ~

やさしい日本語、はじめました。~海外メンバーとのコミュニケーションをより円滑にするためのトライ~

こんにちは!システム部の山下です。日本語教師からエンジニアに転職しました!

GMOリサーチ(※以下GMOR)には海外出身のメンバーも多く、システム部でも海外エンジニアが活躍しています。

日本はIT人材が不足しているとも言われ、海外メンバーが活躍している企業も多いでしょう。

でも・・・やはり言葉や文化の違いから、スムーズにコミュニケーションをとることに難しさを感じている方もいるかもしれません。

そこで今回の記事では、GMORのシステム部でわたしが実践している「日本語メンバー・海外メンバーのコミュニケーションをより円滑にするためのトライ」を紹介します。

自己紹介-日本語教師からエンジニアへ

まずは、簡単にわたしの自己紹介をします!

大学院で日本語教育を専攻し、修了後は公立の小中学校で、海外ルーツの子どもに日本語と国語・算数などの教科を教えていました。

それ以外にも、高校、日本語学校、オンラインで日本語レッスンをしたことがあり、子どもから大人(小学校1年生から、なんと70才過ぎの方まで!)を相手に、10以上の国・地域の方の日本語学習や日本での生活をサポートしてきました。

エンジニアに転職した今でも、日本語教師という仕事は、日本語を通して多様なバックグラウンドの方と出会え、いろいろな経験や知識をシェアできる、ステキな仕事だと思っています。

縁あってGMORに転職した今、日本語教師の経験を生かしながらエンジニア業務に携わることができ、やりがいに繋がっています。

(詳しいインタビュー記事はこちら

GMORシステム部のコミュニケーション

海外メンバー3割

さて、GMORシステム部の海外メンバーのことに話を戻しましょう。

システム部のメンバーのうち、約3割が海外メンバーです。出身は様々ですが、みなさん英語が母語、もしくは問題なく仕事ができるレベルの英語力です。

GMORは採用条件に日本語力を必須にしていません。

だから、日本語でのミーティングに参加して積極的に日本語で発言できる方もいれば、現在勉強中の方もいます。同様に、私たち日本語メンバーも海外で英語を使って働いた経験のある方もいれば、英語を勉強中の方もいます。

かくいうわたしも、留学や海外で働いた経験がなく、英語を勉強中の身です。。。

これまでの工夫と課題

では、日本語や英語のレベルが多様な私たちが一緒に働くにはどうすればいいのか・・・?!

  • 設計書などのドキュメントは、日本語と英語を併記する
  • 日本語メンバーと海外メンバーでプロジェクトチームを組む場合は、メンバー構成に配慮し通訳ができる人を入れる

など、システム部ではこのような工夫をしてきました。

また、GMORでは、日本語・英語の学習支援制度*(1)があり、それを使って日本語や英語力の向上に励むメンバーもいます。

でも、一部のメンバー間だけでなく、部内全体で豊かなコミュニケーションがとれるようになったほうが、もっと良いと思いませんか?

いつもバランスの良いチーム作りができるわけではないし、雑談も含めコミュニケーションをとることで信頼関係ができ、仕事で最大限のパフォーマンスの発揮!に繋がると思います。

というわけで、多様な背景のメンバー間でのコミュニケーションをより良くするトライの一つとして…

やさしい日本語・やさしい英語の普及活動をしています!

やさしい日本語とは

たとえば

月曜日、あ、ちがう。火曜日にレビューでご指摘いただいた点なんですけど、
今日中に修正してPRをあげるとお伝えしていましたが、
思ったより修正に手間取ってしまって…すみません。

これと、

この間のレビューについて、なおしています。
でも、今日中に終わりません。
すみません。明日PRを出してもいいですか?

どっちのほうがわかりやすいと思いますか?

下のほうが、やさしい日本語を意識したものです。

やさしい日本語とは、日本語母語話者同士がいつも話す日本語より、単語や文法を簡単にした日本語のことです。

やさしい日本語5つのポイント

いつもの日本語をやさしい日本語にするためのポイントが、いくつかあります。*(2)

①同じ意味の簡単な言葉を使う

 例:修正する →  なおす

②敬語や方言を使わない

 例:レビューでご指摘いただいた点 → レビューについて

③主語をはっきり言う

④1つの文を短くする

 例:火曜日にレビューでご指摘いただいた点なんですけど、今日中に修正してPRをあげるとお伝えしていましたが、思ったより修正に手間取ってしまって…すみません。

 → この間のレビューについて、なおしています。

⑤最後まで言う

 例:思ったより修正に手間取ってしまって…すみません。

 →  今日中に終わりません。

 

また、ただ簡単な単語や文法を使えばいい、というわけではありません。

たとえば、中国語が母語の方だったら、テキストを送る際に和語(例 :なおす)よりも、漢語(例 :修正する)を使ったほうが、伝わりやすいかもしれません。

つまり、コミュニケーションをとる相手によって、どんな日本語が分かりやすいか、が変わります。

この人にはこう言えば伝わるかな?と、相手の背景や状況に合わせてコミュニケーションのとり方を考える、やさしい心も大切です。

「易しい」日本語と「優しい」日本語という2つの意味があるので、「やさしい」日本語なんです。

  • みんながみんな日本語や英語のレベルが完璧になる
  • 最初から日本語も英語もビジネスレベルの人を採用する
  • 翻訳こんにゃく*(3)が食べられるようになる

これらに比べたら、やさしい日本語・やさしい英語でコミュニケーションをとることは現実的で、みんなが今からトライできるものだと考えます。

「システム部✖やさしい日本語」

やさしい日本語を広げるために

このやさしい日本語を広めるため、勉強会で発表したり、やさしい日本語についてのドキュメントの朗読をしたり、slackの部内チャンネルでやさしい日本語を使った投稿を見つけたら「やさしい」スタンプを付けたりしてきました。

そして今、システム部でやさしい日本語を見かけることが増えてきました!!

システム部のみなさん、いつもご理解とご協力、本当にありがとうございます!

写真:やさしい日本語が使われたslackの投稿

システム部メンバーの感想

やさしい日本語について、システム部のメンバーからもらったフィードバックを紹介します。

やさしい日本語、すごくいい!!

ふつうの日本語でも大丈夫だけど、やさしい日本語のほうが100%分かるから自信をもって話すことができる。

やさしい日本語に共感。日本企業で働かれてる海外の方って「お金が稼げる」というより「日本が好きで」という方が多い印象なので、海外拠点、海外顧客相手の会議でもなければ、簡単な日本語を使うのがモチベ的にも結局一番いいんじゃないかと前から思っていた。

海外メンバー間とのやりとりだけじゃなくて、本語メンバー間とのやりとりでもやさしい日本語が大事だと思った。

 

もちろん、やさしい日本語・やさしい英語が、日本語メンバーと海外メンバーとのコミュニケーションの課題をすべて解決してくれる!…とは思っていません。*(4)

でも、完璧でない言語にお互いに寛容になること、相手に伝わるためにはどうやって話せばいいのかを考えながら話すことは、異なる言語背景をもつ人同士のコミュニケーションの大前提であると考えます。

この人のことをもっと知りたい!もっと話を聞きたい!話したい!!を叶える手段の1つとして、

やさしい日本語・やさしい英語が役立つと、わたしは信じています。

最後に-やさしい日本語クイズ

それでは最後に、やさしい日本語クイズです。下の日本語をやさしい日本語にしてください。

ぜひ今日紹介した5つのポイントを思い出しながら、やさしい気持ちでクイズに答えてください。

  • この件は〇〇さんがボール持ってるから、進捗とか確認しといたほうがいいかもなー。
  • 肌感で全然構わないから、今やってる調査にあとこんぐらい時間かかりそう、とかある?
  • 昨日発覚したバグの修正って今日中にできちゃったりします?もし結構きついかもって感じなら、こっちでやっちゃおうかなと。

なお、このクイズに正解はありません。

ところで、クイズに答えるとき、あなたは何を考えましたか?

あなたが考えたことは、いつものコミュニケーションをより良くすることに、

きっと役立つと思います!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*(1) 英語の場合、オンライン英会話サービスや学習アプリの利用料、TOEICの受験料を支援してくれます。日本語の場合、オンライン日本語会話サービスの利用料と日本語能力試験の受験料を支援してくれます。

*(2) やさしい日本語のポイントについて、もっと知りたい方はこちら

*(3) 藤子・F・不二雄の漫画「ドラえもん」のひみつ道具の1つ。これを食べると、どんな言語を話す相手とでも、コミュニケーションをとることができるようになる。

こういう、日本文化についての話題も、相手によっては知らない場合があります。「やさしい日本語」の観点からは、話題に出すときに気を付けたほうがいいです。

*(4) たとえば、「環境構築」のように、難しくて日常生活では使わない言葉でも、エンジニアの仕事ではよく使われる言葉があります。また、これは簡単な言葉に言い換えるのも難しく、正確に意味が伝わらないかもしれません。

そのため「環境構築」のように、覚えたほうがコミュニケーションの効率がいい言葉もあります。

 

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