社歴3年業界歴●●年・・・、システム部のハライといいます。
サポートエンジニアからスタートしたのに、いつの間にか開発者になっていました。
主にphpを使ってましたが、最近はpythonと両刀になっています。
趣味は弓道、読書、絵画(鑑賞と描く方も)、なにか手作業で作ることとデジタル嫌いな完全アナログ人間です。
私はGMOリサーチに入社以前から、とある大学教授の研究にツール提供という形でお手伝いをしています。
ツールといってもExcelVBAで作成したもの、「エンジニア」でメシを食ってるにしては少々恥ずかしくなるレベルではあるのですが、他業界への支援、とまとめてみると、労少なくして寄与多し、くらいのことが可能なケースもある、という事例のご紹介になります。
テックネタとは言い難いところがありますが、この程度でも役に立つのか、ということを知ってもらい、なにかの折にお手伝いする側になる後押しになればと思います。
※研究は継続中のため、ツールについてはサンプルも含めて開示できません。そのため、この記事は文章ばっかりになります。申し訳ございません。。。
研究基本情報
それでは早速、私が携わっている研究の基本情報についてご紹介していきます。
研究概要
研究は、科研費を得て数年に渡り行われているもので、心理学領域の基礎研究になります。
対人援助職(教師や看護師など)従事者の燃え尽き症候群に対する回避・対応策として、ストレスマネジメント技法を開発することを目的としています。
詳細は科研のページをご覧ください。
「アクションリサーチによる福祉職のストレス制御特徴の解明と対処技法の開発」
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03359/
研究例
一連の研究の一部で教授が学会発表した論文集のリンクを貼っておきます。
こちらは「一般企業就労者におけるストレス反応の自己制御~年代と性別による比較~」というタイトルの論文で、一般企業就労者の年代と性別でストレス反応とストレス制御の仕組みにどのような違いがあるか、についての研究結果がまとめられています。
参考リンク:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahpp/32/0/32_130/_article/-char/ja/
方法
計151の設問数からなる質問紙調査を行い、回答結果を統計処理します。
回答時のストレス状態と気分状態を測定します。
調査対象(質問紙に回答していただく方の職業属性)
福祉職従事者のほか、職種による違いを見るため、一般企業就労者や大学生も対象にしています(上記例)。
※本文では、回答者を「被験者」と記述します。
協力ポイント
心理系研究で被験者になっていただいた方には、なにがしかのお礼や、フォローとして結果をフィードバックしたりすることが普通です。
アンケートのような質問紙調査であっても、まれに侵襲性を感じる人もいたりするためです。
この一連の研究では、ご希望の被験者さんに、回答結果と一言アドバイスを書いたフィードバックシートをお渡しすることにしています。
そのフィードバックシートの雛形を作るツールを提供することが、私の協力ポイントになります。
「研究例」に参加していただいた人数は252名(有効回答数152名)。
このすべてがフィードバックを希望した場合、とてもじゃないけど、手作業で1枚1枚フィードバックシートを作ってる時間はありません(過去には300名ほどの有効回答を得た調査もありました)。
スコアからフィードバックシートの雛形を生成するツールが必要、社会人大学生として教授のゼミ生であり、大学院では同じ指導教官に師事した後輩でもあった私に作成依頼が来たのでした。
ちなみにフィードバックシートの構成は、
- 設問をいくつかの項目に分類して結果をグラフにプロット
- ストレスの抱え方
- どういう回避の仕方をしそうか
- 抑うつや不安が強いか
- 活動的か
といった特徴的な傾向を元にコメントの雛形を作成します。
(この雛形に、臨床心理士が各被験者さんに合う言葉に肉付けしています)
ツールについて
ExcelVBAで提供しています。
機能は、素点、平均値をグラフにプロットし、標準偏差から被験者の特徴的な項目を抽出し、項目に対応する予め用意しておいたコメントの雛形をシートに出力するというもの。
簡単ですね。
お話をいただいたときは、作りやすく、メンテしやすく、利用しやすければ、何を使ってもいいと思ったので、OSSのCMSでも適当にいじってオンラインで提供することを考えたのですが・・・
- いくら科研費を取得した研究とはいえ予算は多くない
- どこかサーバー借りても誰が面倒みるのか
- 情報流出の防御策うんぬんを大学倫理委員会に詰められる
- 大学内のサーバーは間借りできない
…etc
と肝心の運用方面のデメリットが多く、仕方なしにExcelに落ち着いた次第です。
Excelはバージョンで動作が変わったりするしな・・・と優先順位低だったのですがね・・
このように、技術的な問題よりも、自分の常識と協力対象分野の常識の齟齬に神経を費やすことがままあるかと思います。
協力しやすい領域
心理学や社会学などの文系分野が対象になるかと思います。
この領域では社会統計が履修必須科目になっているし、質問紙調査を行って統計ソフトを使うことも一般的、さらに統計ソフトのスクリプトも書ける研究者も珍しくありません。
他の文系分野に比べ、IT業界に近いと言えます。
しかし今回ご紹介しているような、ExcelVBA程度でさえ、得意と言える人は多くはありません。
その一方で、研究のタイプには、プログラミングできたらほんとうに助かるだろうになぁ、というものが多いのです。
実際、完成した折には、こちらが恥ずかしくなるくらいに感謝されました。
最後に
とはいえ、協力しようにも、ニーズと出会うこと自体がまれだと思います。
社会人になって大学に入り直すような物好きだったり、あるいは卒業後もゼミとずっとつながってるなど条件が揃わない限り、まずありえないとことでしょう。
ただ、もし、専門外のことで困ってる人たちに遭遇し、技術協力が可能なのであれば、お手伝いに一歩踏み出してみていただければと思います。
以上、長々と文章ばかりの記事をお読みいただき、ありがとうございました。
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